意思と思考のメカニズム
人間の意思決定が普段自分自身だと信じている自我、つまり顕在意識ではなく、潜在意識によってなされていることを説明しましたが、では、その潜在意識の役割は我々の意思決定なのでしょうか?答えはNoです。潜在意識は、記憶を再生しているに過ぎません。少々わかりづらくなってくるので、例を挙げて説明しましょう。
例えば、「よし、私は将来社長になって、成功する」という意思を持つとします。この時の感情や意志は自我=顕在意識が行っていることですが、それと同時に次のようなことが思い浮かびませんか?「社長っていったってなれるわけない」「成功するのは限られた人だけでどうせ自分なんてダメだ」というように。
この意思や決意を邪魔するような心の奥から湧き上がってくる思考こそ潜在意識が提供しているものなのです。顕在意識が潜在意識によってコントロールされることは先にも述べました。つまり、この例で言うと、成功したいという意思を打ち消す思考の方が勝ってしまいます。そして、そのためこの思考を取り除かない限り、成功できない方向に導かれてしまいます。
この例からしますと、潜在意識の役割とは、マイナス思考をすることと思われるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。なぜなら潜在意識は思考の中身について善悪やプラス・マイナスの判断はできないからです。潜在意識の役割は、我々の脳に眠っている記憶を再生することなのです。ここでいう記憶とは我々が生まれてから今までの記憶ではなく、生命として遺伝子レベルで格納してきた記憶のことです。
では、潜在意識が提供する思考(記憶)をプラスに変えるにはどうすればよいか。ここでも先ほどの例を挙げましょう。毎日「私は絶対に成功する!」と強く念じ続ける。これではほとんど場合うまくいかないでしょう。というのも、同時に「どうせ…」という感情が湧きあがってくるからです。では、それを打ち消すぐらいに強く念じる(自分に言い聞かせる)といいのではないか?これも答えはNoです。なぜなら、打ち消そうとしている対象である「どうせ…」という感情や思考を明確に捉え続けているからです。捕まえて手放さないでいると言えばもっと分かりやすいでしょうか。従って、改善するためには、意思や決意を妨げる、潜在意識によって提供される思考を手放さなければいけないということなのです。
次回は、その潜在意識から再生される思考(記憶)をどう手放していくかについて書いてみようと思います。





